(ただ)れゆく日に

焼け落ちる太陽が 私の身体を赤く染める。

穢れを知らぬ純白の、
私の身体。
それが あの男の誇りだったのに。

私のすべては 男のためにあり、
男がひとたび命ずれば 如何なる苦難も胸躍る歓喜に変わった。

私を捕らえて放さぬ腕と
私を駆り立て追い込む脚と
その重く逞しい、肉体と。

すべてが私を支配し 突き動かした。




愛しい男よ。
誇り高きお前のため、私は駆け続けたのに。



累々たる屍の荒野に今、
焼け爛れ 落ちゆく太陽。

力無く垂れ下がった腕は私の手綱を握らない。
伸びきった脚はもう、駆けることを命じはしない。

男の血潮が純白の毛並を赤く染め、大地までをも侵蝕する。
止めどなく血を流しても
男の肉体は私の膝を折るほどに重い。


それでも私は西へと還る。
無敗を誇る男の矜持を、この赤く爛れた身体で証すため。
そして
私が男を愛したように、
男が愛した斜陽の主君と まみえるために。


かの君は
ただ一騎で敵を阻んだ男の頬に、愛惜の涙を零すだろうか。




2004.3.25


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