ちいさなもりのむし 
1.
 たくさんの(あめ)がふりつづいていました。
 フルールは()の“うろ”からあたまをのぞかせ、しんぱいそうに(そら)()あげています。
 うっそうと()(しげ)(みどり)は、(あめ)にぬれてほほえんでいるようですが、フルールはしょんぼりしていました。
「いつになったら、やむのかなぁ」
 つぶやきは、雨粒(あまつぶ)()たれて地面(じめん)へと()ちてゆくばかり。
 わた()のようにふわふわのお洋服(ようふく)は、湿気(しっけ)()ってだいなしですし、お()()りの背中(せなか)(おお)きなリボンだって、なんだかさえない(かん)じです。
「ホント、いやになっちゃう」
 フルールが(あめ)のしずくをはたく仕草(しぐさ)でリボンを()ると、しずくと一緒(いっしょ)にリボンに()いた(きん)(こな)がきらめきました。
 そして、ぴょんとはねると、フルールはひらひらと()んで、()のねもとにいるお(かあ)さんのもとへおりてゆきました。
 フルールのお(かあ)さんは、ハート(がた)()っぱをもつ、(みどり)のひとです。
 ちっとも()ていませんが、フルールがうんと(ちい)さいときから(そだ)ててくれたひとなので、やっぱりお(かあ)さんだと(おも)っているのです。
「おかあさん、どうして(あめ)がやまないの?」
 フルールがたずねると、(みどり)のお(かあ)さんはおっとりとした(こえ)()いました。
「そうねえ。(もり)のヌシ(さま)におききしないと、わからないわね」
「もりのぬしさま?」
「ヌシ(さま)は、(みず)をつかさどるおかたですよ。(もり)(みず)はなくてはならないものですからね」
 つづけて(みどり)のお(かあ)さんは()います。
「どれだけ(あめ)をふらせるのか()めるのも、ヌシ(さま)のおしごとなんですよ」
「へ〜え、そうなんだ。それじゃあわたし、ヌシさまに“(あめ)をふらせるのをやめてください”ってお(ねが)いしてくる」
 いまにも()んでいきそうになったフルールをしんぱいして、(みどり)のお(かあ)さんは(こえ)をかけます。
「でも、フルール。この(あめ)のなかを()びまわったら、(からだ)()えてしまうわ」
「でもね、お(かあ)さん。このままずっと(あめ)がやまなかったら、わたし、お(とも)だちを()つけることもできないもの」
 ふりかえったフルールは、つづけて()います。
「わたしはわたしとおんなじ姿(すがた)をしたお(とも)だちを()つけて、そうしてお(かあ)さんのもとへ(もど)ってくるの。そうしないといけないのよ」
 フルールの()うことはもっともだったので、お(かあ)さんはうなずくほかありませんでした。
「できることなら、ついていってやりたいけれど……。わたしはここを(うご)くことができません。くれぐれも()をつけていくのですよ」
 そう()って(みどり)のお(かあ)さんは、ヌシ(さま)のすみかをフルールに(おし)えてくれました。


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